グランド工房

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2021/08/27 / 住まいの雑学 外構

子どもから両親への思いやり「高齢化対応エクステリア」

高齢者にとっては日常の中に危険がいっぱい

現在、日本の人口の26%を占めると言われているのが65歳以上の高齢者です。
このまま高齢化が進むと、2025年には30%を超えるかもしれないという見解もあります。

そして、高齢者は日常生活の中での事故も多く、
その事故の発生場所は住宅がダントツの1位で多く発生しています。

高齢者の事故発生場所ランキング

1位…住宅 77.1%
2位…民間施設 8.2%
3位…一般道路 6.9%

事故の例で多いのが、窒息・転倒・転落です。
特に転倒・転落は高齢者の場合、軽い事故だとしても寝たきりの原因などになることも多いので、十分に予防しておくことが重要となります。
また、住宅といってもこれは室内だけに限りません。
住宅の中でも外構や庭も事故が多い場所の一つです。

今回は、高齢者の方にとって外構の危険なポイントと対策をまとめました。

1.外構の危険ポイント
①アプローチ階段

階段の数は住宅によって違いはありますが、段差が1~2段というような少ない階段だとしても、高齢者にとっては十分に危険なポイントとなります。

②庭に出るときの段差

一般的には庭と室内には40~50㎝ほどの段差があります。
窓から庭に出るとき、または庭から室内に入るときにその大きな段差を昇り降りすることは転落の危険だけでなく、足腰に負担をかけることにもなります。

③手が行き届かなくなって生い茂った植物や雑草

枝が引っかかって怪我をしたり、地面に植物が伸びていると足を引っ掛けて転倒する恐れがあります。

④使わなくなった植木鉢や生活用品

お庭に使わなくなった植木鉢やバケツ・スコップ・掃除道具などが転がっているとそれらにつまづいて転倒する原因となることもあります。
人が通る場所にはなるべく障害となるものは置かず、キレイにしておいた方が安心です。

2.外構でできる高齢化対策
①手すりをつける

階段の段数が少ない場合でも手すりをつけることをおすすめします。
手すりは後付けすることもできます。

②踏み間違いのないデザインの階段にする

階段の段鼻部分の色を変えるデザインにすると、
天気が悪い日や夜の暗い時でも段差が見えやすく、踏み間違いを防げます。

例えば、立ち上がり部分のみレンガで作る、タイルの階段の場合は段鼻部分のみ違うタイルにするという方法があります。

③スロープを設置する

階段を上るのが大変だったり、車椅子になった時、
階段だけでなくスロープもあると日常生活の負担を軽減することができます。

④ワイドステップにする

ワイドステップとは階段の奥行きと幅を広くして、段差を小さくした階段です。
ワイドステップにしておけば、段差が小さいのでつまづきにくくなるだけでなく、車椅子でも介助者がいれば比較的楽に上ることができます。
階段とスロープをそれぞれ作るスペースが無い時にはおすすめです。

⑤床は滑りにくい素材を使う

表面がツルッとしたタイルやコンクリートの金コテ仕上げは雨の日などに滑りやすくなり転倒の原因となります。
おすすめはコンクリートの洗い出しやゴツゴツした豆砂利の洗い出し仕上げです。

どうしてもタイルを使いたい場合は表面がザラザラした滑りにくい加工のもの、コンクリートは金コテ仕上げよりも刷毛引き仕上げにしましょう。
自然石も物によって滑りやすいものと滑りにくいものがあるので、選ぶ時に実物サンプルを見て確認することをおすすめします。

⑥駐車場は広めに、屋根があるとより安心

車椅子になったり、車への乗り降りに介助が必要になったりした時のために、駐車場は広めに確保できるといいですね。
また、高齢になるとどうしても車への乗り降りにかかる時間もゆっくりになることもあるので、雨の日でも落ち着いて乗り降りできるように屋根があると安心です。

⑦庭とリビングをつなぐデッキやテラスを設置する

窓の外にデッキやテラスを設置すれば、大きな段差をまたぐことなく庭に出られるようになるので、
洗濯物を干したり庭でガーデニングをしたり、室内と庭の行き来がより安全になります。

3.まとめ

エクステリアを高齢化対応にすることは、高齢者にとっての不便をなくすためのものだという印象が強いと思います。しかし、高齢化対応エクステリアが高齢者に与える影響はとても大きいものです。

・自宅の庭でゆっくりリラックスタイムを過ごす

・孫が遊びに来た時に安全に楽しく過ごせる庭

・地域の子供達や近所の方々が集う憩いの庭

など、小さな不安を取り除いて安心・安全な空間になることによって、社会とのつながりや生きがいを生むこともあります。
いくつになってもいきいきと日常生活を送ることのできるエクステリアを計画できるといいですね。

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